一口に有田焼の窯元といっても、各々その特徴はさまざまです。ここでは、矢鋪與左衛門窯を特徴づける要素のひとつひとつを解説していきます。 白磁とは白素地に無色の釉薬をかけ、高温の還元炎で焼き上げて作る磁器のことです。その歴史は古く、6世紀の中国に起源が求められるともいわれます。以来、その美しさと希少性から、宮廷や大名間の贈答品としても珍重されてきました。 日本において現代に連なる磁器のルーツは16世紀、朝鮮半島から来た陶工によってもたされました。当地、有田の泉山で白磁に適した磁石を含む地層が見つかり、当時から白磁は焼かれ続けてきました。そのため有田は日本磁器発祥の地と呼ばれています。 絵付をせず、その造形で作家の世界を表現する白磁は「ごまかしがきかない」といわれます。磁器ロクロを習得するのに膨大な時間を要するのに加え、ほんの少しのキズ、たったひとつの降りものでも作品としては成立しなくなります。 一口に有田焼といってもその作られ方は一様ではありません。「小物」と呼ばれる分野の場合、大きく2つに分けられ、それぞれ「内山の技法」、「外山の技法」と呼ばれています。 泉山から採掘された磁石(じせき:磁器をつくる土の原料)のうち、質のよいものは内山で卸され、そこでは主に美術品や贈答品が作られました。外山では比較的庶民向けの焼き物が作られたといわれています。 内山の技法はロクロのみで成形をやり終える技法です。径の大きさや高さはもちろん、曲線の角度や大きさまでも揃えるには相当の技量を要します。この技法を身につけるために、ロクロ師は身を粉にして鍛錬を重ねます。 昔は有田焼の技法の中核を担っていた内山の技法ですが、実は現在ではほとんど伝承されていないというのが現状です。 矢鋪與左衛門窯では、今では失われつつある伝統の技法を忠実に受け継ぎ、昔ながらの有田焼の美しさを現代に伝えています。生命あるものはその環境に応じ生成発展しようとします。これが生命の神秘です。 生命なきものは外力を加えない限り永久にそのままです。その生命を吹き込もうと技術の粋を尽くし心を植えつけようと皆それぞれに苦心し、それゆえここに工芸の妙味があります。 当窯の作品は熊本県天草産の陶石を厳選・精製した特上の土を用い、肥前有田に伝わる技法をもってロクロを回し、焼成したものです。 どうか末永くご愛用下さいませ。
沿革
1977年 |
佐賀県重要無形文化財 現代の名工中村清六氏に弟子入り |
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1982年 | 労働大臣二級技能士検定合格 |
1983年 | 佐賀県展入選入賞 |
1984年 | 佐賀美協展入選入賞 |
1985年 | 九州山口陶磁展入選入賞 |
1988年 | 長崎陶芸展入賞(二席) |
1989年 | 西日本陶芸展入選 |
1989年 |
労働大臣検定一級技能検定合格(手ろくろ) 労働大臣検定一級技能検定総合一位につき佐賀県知事賞 |
1990年 | 長崎陶磁展入選 |
1990年 | 国際陶芸展入選、入賞(銀賞) |
1992年 | 一水会展入選入賞 |
1992年 |
日本陶芸協会会員 フランス・エルメス・ダイアナ杯 ロクロ実演随行 |
1992年 | 熊本県荒尾市にて第一回個展開催、独立 |
1992年 |
東京銀座黒田陶苑主催 日本伝統工芸会受賞作家選抜展出品 |
1993年 |
有田VOCポーセリンパーク 有田焼有田焼工房ロクロ師 白磁酒器 宮内庁お買い上げ 通産大臣認定伊万里・有田焼伝統工芸士 |
1994年 | 朝日陶芸展入選 |
1995年 |
日本伝統工芸展入選 出石磁器トリエンナーレ展入選 |
1995年 |
熊本県荒尾市にて第二回個展開催(有田ポーセリンパーク協賛) 有田陶芸協会会員 |
1996年 | 九州山口陶磁展テレビ山口賞 |
1997年 |
九州山口陶磁展第3位 伊万里・有田焼伝統工芸士会副会長 第三回個展(熊本県荒尾市) |
1998年 |
職業訓練指導員免許 雅号「岳秀」改め「與左衛門」襲名 木更津市矢那真福寺内にて上総焼久遠窯開窯 |
1999年 |
かずさ焼内覧会 東京銀座・田崎真珠ビルにて個展開催 |
2000年 | 日本伝統工芸士会作品展にて特選・入選受賞 |
2000年 | 全国伝統的工芸品公募展入選 |
2001年 |
NHK千葉放送局にて個展開催 西有田町岳に帰り、窯を 「岳心庵矢鋪與左衛門窯」とする 九州山口陶磁展佐賀新聞社賞受賞 佐賀県マイスター制度発足 ロクロ師として初代マイスターに認定さる 韓国・利州プレ万国陶芸祭招請・ロクロ実演 第4回個展(熊本県荒尾市) |
2001年 |
高木伝統園芸盆栽の器展入賞(奨励賞) 日本陶芸展入選 フランス・トゥールーズ市開催 ロートレック没後百周年記念芸術祭“地球シリーズ”(地球はパラダイス)出品 大賞受賞(ミディ・ピレーネ・ジャポン協会会長賞) サロン・ド・ロートレック正式会員 韓国利川交流都市作家展出品 世界陶磁器博覧会招請・ロクロ実演 |
2002年 |
佐賀県藤津郡塩田町の依頼にて志田焼再現 佐賀市の斡旋により恵比寿ギャラリーにて個展 愛知県豊明市市制30周年記念イベントに招請 ロクロ実演・作品展開催 |
2003年 |
京高木盆栽の器展優秀賞受賞 ながさき陶磁展佳作賞受賞 第17回日本煎茶工芸展初出品、初入選(白磁茗碗・白磁茶銚) 第49回日本伝統工芸展入選作(青白磁楕円深鉢) 宮内庁お買い上げ 伊万里・有田焼伝統工芸士会会長 日韓合同陶磁展(韓国順天市)ロクロ実演 第五回個展(熊本県荒尾市) 全国伝統工芸士会展(富山高岡市)ロクロ実演 佐賀県産業祭技能まつり(多久市)ロクロ実演 全国技能士連合会会長賞受賞 全国中小企業団体中央会会長賞受賞 |
2004年 |
第18回日本煎茶工芸展入選2点(白磁細首一輪挿・瓶床) 「ドイツ有田陶芸展」(マイセン市・ベルリン市)出品 |
2005年 |
第19回日本煎茶工芸展入選(白磁鶴首花瓶) 愛知県豊明市小中学校陶芸教室 全国伝統工芸士会展特選 第六回個展(熊本県荒尾市)還暦仲間展 |
2007年 | 作陶30周年記念展を仲間展にて開催 |
2008年 |
全技連マイスター認定 佐賀県知事賞受賞(最優秀技能者) |
2009年 | 荒尾市平井小学校(母校)六年生陶芸教室開催 |
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