山形県真室川町には天然の漆が自生していて、漆坊という地名が残っていることから古より漆文化があったようです。漆の研修を始めてから数年が経ち 「町内にたくさんの漆の木があるんだから、自分で採取した地元産漆を使って漆器を作りたい。」と思い、当時、真室川町で漆搔きをしていた方に漆採取を習う。その後岩手県二戸市浄法寺町の漆搔き子さんを講師にお招きし、真室川漆林で漆採取に関する基本的姿勢、採取の仕方等を指導して頂きました。 私が採取した漆は文化財等の修理に用いられています。漆を育て、漆を搔き、精製し、漆塗りまでを行っています。しかし漆も自然が生み出した貴重な資源であり、自主採取できる漆の量は限られているため輸入漆との併用をせざるを得ないのが現状です。真室川漆器は主に普段使いの器としてご使用いただくために、基本的に下地は漆を塗り重ねシンプルな塗り仕上げにしてあります。毎日使うことで手に馴染み木と漆のぬくもりを肌で感じていただければと思います。
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