「平和を願いながら、美しいと思う作品を全力で作っていく」
京都五条坂で150年続く文齋窯の六代目で、陶芸家の小川文齋さん。人と人の輪をモチーフにした作品を長年作り続けてきた。また緑色に魅せられた小川さんは、これまでに美しい緑色の作品を数多く生み出してきた。最近ではその作品から「緑色の人」というイメージがすっかり定着したそう。さらに、家の庭に飛んで来たとんぼから先代のメッセージを感じて、作品づくりに変化があったという。小川さんに作品に込める願いや今後の展望などをうかがった。
制作を始めた頃からのご経歴をお聞かせください。
150年という伝統がある中でお仕事をされていてプレッシャーは感じますか?
長く活動してこられて作品に変化はありますか?
「制作以外にも様々な作家活動をしている」
日々の活動はどのようなスケジュールで行われていますか?
外出される機会が多いんですね。
そういったお付き合いをされる中で作品のアイデアが生まれることはありますか?
陶芸家の方って、工房などにずっとこもって制作されている印象がありました。
「世の中から争い事をなくしたい、という思いが制作の根底にある」
精力的に活動してこられて、数々の賞を受賞されています。特にうれしかった賞は?
作品のモチーフを教えてください。
世界ではいま戦争が起こっています。小川様の作品を多くの人に見ていただく機会があればいいですね。
制作でのこだわりはありますか?
「とんぼが指に止まって、作品のモチーフになった」
作品に緑色を多く使うようになったのは代を継がれてからでしょうか?
緑色が作品の脇役から主役になったという感じですね。
読者にメッセージがあればお願いします。
今後の展望をお聞かせください。
作品紹介
プロフィール
六代 小川文齋Bunsai Ogawa VI
1.和(輪)をモチーフにした作品群 人は皆、その善し悪しは別にして、自分と他人とのつながりの中で生きている。人と人は解り合えないと言う人もいるけれど、まずは手を繋ぎ、語り合うことをしなければ良い関係は生まれない。そう考えたからこそ、人と人が繋がり輪になることは和につながると考え、輪っかをモチーフに作品を作っている。 2.緑色 何故緑色が好きになったのか、いつから好きになったのか、既に記憶にはない。でも、私にとって一番好きな色であるし、突き詰めて美しい緑を探していきたい。 3.蜻蛉 蜻蛉のモチーフは元々先代が好んで使っていた。いや、好んでと言うよりは蜻蛉こそが必要なモチーフであった。その為、蜻蛉は先代の物としておきたかった。しかし、一昨年、庭にオニヤンマがたくさんやってきた。10匹以上いたと思う。指を出すとその中の一匹が止まった。そして1分間ほどじっと見つめ合った。その時、先代に遠慮せずに使えと言われた気がした。その後から蜻蛉をモチーフとして使い始めた。 これらの物は私の作品群の主な特徴であるが、私の作品を見た人たちが、人種・性別・国籍などあらゆる物を越えて美しい・楽しいと感じてもらえたらと思いながら制作している。なぜなら、同じ作品でいろいろな人が美しいと感じてもらえたら、人と人は解り合える証拠になる、そう考えているからである。解り合えれば、争いも乗り越えられる、乗り越えて欲しい。そう願って止まない。