食器の選び方や和食器の魅力を料理研究家目線で解説。備前焼に合う、スパイスカレーとマグロの昆布締めも必見!

陶芸家 亜登武窯 武田謙二

たくさんの食器があって、迷ってしまう…そんな方はいらっしゃいませんか? 今回はそんな方に向けて、料理研究家の方にご協力いただき、「料理研究家が考えるうつわの選び方」について記事を執筆していただきました。 第一弾の今回は、2002年から料理教室を開講し、ジャンルレスのオリジナルの料理やパーティー・おもてなし料理を提案している料理研究家の指宿さゆりさんがご担当。 スパイスカレーとマグロの昆布締めのレシピまでご紹介くださっており、見どころ満載ですよ! ぜひぜひご一読ください。

ステキな和食器で、日々の食卓を魅力的に

日本の食卓において欠かすことのできない和食器。料理を作る上で大切なのは、食べた時の美味しさ、栄養バランスはもちろんですが、実は味わいを左右するのが、見た目の美しさ。 イタリアンやフレンチ、中華料理など様々な料理がありますが、どのジャンルの料理も、単なる味だけではなく、盛り付けや見た目の彩りなど、料理の美しさにこだわっています。 中でも和食と言えば、日本ならではの繊細な味付けであり、四季を感じさせてくれる旬の食材をふんだんに使っていることが特徴だと言えます。 料理の美しさを求めるのであれば、料理の質はもちろんですが、盛り付けに使う食器にもこだわりたいものですね。

和食器の選び方について

これから新生活をされる方はもちろん、新しく食器を選ぼうと思っている方、ぜひ、和食器の魅力を知ってみてはいかがでしょうか。 和食には茶碗や盛り皿だけではなく、汁物を注ぐ汁椀、小皿や小鉢、小鉢や深鉢など、色んな食器を使います。一度の食事で様々な食器に用意された料理を見るだけで、食欲がそそられるものです。 洋食器の場合、陶磁器が多く、形も丸みを帯びているアイテムが多いですが、和食器は丸や四角など、大小含めて様々なバリエーションがあります。

作りたい料理をイメージして選ぶ

和食器を選ぶうえで大切なのは、作りたい料理をイメージすることです。これは私たちもよく実践していますが、まずはゴールとなる料理の完成を考えるようにしています。完成された料理と合ったものを探してみてください。 ご家族やパートナー、あなた自身が好きな料理は何ですか。得意な料理、好きな食べ物など、それが例えば、カレーだったとすれば、気になっている器に、カレーを盛り付けたイメージを合わせてみてください。もちろん、好きな料理だけではなく、これから習得したい料理、チャレンジしてみたい料理でも構いません。器を選ぶだけで、料理に対するモチベーションもアップするはずです。

ご自身の食卓、収納に合わせて

食器を購入する前に、できるだけ収納スペースを把握しておくとよいでしょう。定番の大きさであれば問題ないですが、食器によって、収納場所に合わないことがあります。特に和食器は種類が豊富なため、サイズがバラバラになってしまうと、収納するのに困ってしまうかもしれません。 食器に記載されてあるサイズを確認するか、実際に手に取ってサイズ感を確かめておくといいですよ。 これまでにストックしてある食器との相性もあるので、手持ちの食器ともマッチするかどうか、食卓のイメージを膨らませてみてください。

ストックしている食器との相性

すでにご家庭でいくつかの食器を持っている場合、お手持ちの食器との相性を考える必要があります。これから和食器を揃えるのであれば、まずは定番のアイテムを選んで、少しずつ買い足していくという方法もできます。食器だけではなく、グラスや湯飲み、ランチョンマットやお箸など、トータルでのコーディネートを考えるとよいでしょう。ファッションと同様、合わせやすい色合いにすれば、どんな食器でも合いますし、デザイン性の高いものや個性的な柄にすると、特別感のある見た目になります。

最後は直感!器との出会いは一期一会

ここまで食器選びのポイントを紹介しましたが、選ぶ決め手となるのは、あなたの直感です。もちろん、食器を共有する方の意見を聞いてもよいでしょう。 作家さんの個性に惹かれた、窯元の雰囲気が気に入った、デザインにピンときた、理由は人それぞれです。いいな!と思った直感を大切にしましょう。 どれだけ収納場所に合っているかどうか考えても、ダイニングのテーブルのサイズに収まっているとしても、器を使う人が好きでなければ、せっかくの食器も活躍することができません。素敵な器との出会いは一期一会ですよ。

器に合わせた料理のご紹介~カレー料理~

今回は食器に合わせた自慢のスパイスカレープレートをご紹介したいと思います。中でもレシピとして紹介するのは、スパイシーチキンバタークリームカレー。スパイシーチキンバタークリームカレーは、スパイスをふんだんに使った料理です。スパイスを使った料理に興味のある方におすすめ。スパイシーチキンバタークリームカレーは、スパイスカレーの中でも定番なので、ぜひチャレンジしてみてください。

慣れてしまえば意外と難しくないのがスパイスカレー

普段はあまりスパイスを使わないという方にとって、スパイスを使った料理は難しいと思われるかもしれません。最初は自分に作れないのでは?と感じるかもしれませんが、慣れてしまえば、意外と手軽に作ることができます。基本をマスターしながら習得してみてください。足りないスパイスは調合されているものか、オールスパイスで代用してもいいですよ。副菜となるカレーやアチャール、サーグなどは好みのものを用意してみてくださいね。おうちで本格的なスパイスカレーが作れるようになれば、食卓の楽しみが増えますよ。

◎これが作れたら我が家の自慢に!特製スパイスカレープレート

スパイシーチキンバタークリームカレー <材料:4人分> 鶏モモ肉(皮なし) 300g [漬け込み用] プレーンヨーグルト 100CC 生姜(すりおろし) 大さじ1強 ニンニク(すりおろし) 大さじ1/2強 [スパイス] コリアンダー 大さじ2/3 クミン 小さじ1/2 フェヌグリーク 小さじ1/3 クローブ 小さじ1/4 シナモン 少々 ガラムマサラ 小さじ1/2 チリパウダー 小さじ1 [テンパリング用スパイス] カレーリーフ ひとつかみ クローブ 2~3粒 シナモン(アカシア) 5㎝ 赤唐辛子 2~3本 クミンシード 小さじ1強 オリーブ油 大さじ2~3 玉ねぎ(みじん切り) 中1個 [A] トマト缶 小1缶 トマトピューレ 1/4cup トマトペースト 1本 トマトジュース 小1缶 炒めた玉ねぎかフライドオニオン(好みで) 1/4袋 [B] 生クリーム 1/2パック ココナッツクリーム 100CC バター 大さじ1 [プレート用に合わせたいおすすめメニュー] ビリヤニ(ターメリックライスでも) 4人前 国産マグロのスリランカカリー 適量 ダールカリー(ネパール風) 適量 ライタ(ヨーグルトに刻んだ野菜を加える) 適量 青菜のサーグ(小松菜やホウレン草など) 適量 ミックスアチャール(好みで用意する) 適量 国産レバー二種のアチャール(好みで用意する) 適量 スパイス半熟卵(好みで用意する) 適量 ハーブや生野菜(好みで用意する) 適量 <作り方> 1、鶏肉は皮をはぎ、一口大に切ってボウルに入れる。[漬け込み用]を加え、混ぜながらなじませる。30分~1時間ほど常温でおく。 2、鍋にオリーブ油、[テンパリング用スパイス]を加え、弱火にかける。クミンシードがはじけてきたら玉ねぎを加えて炒める。 3、玉ねぎがきつね色になったら、[スパイス]を加えて炒める。[A]を加えて炒めながら煮る。具材がやわらかくなったら[B]を加えて5~6分ほど煮る。塩(分量外)で調味し、鶏肉を入れて火が通ったら完成。 4、ビリヤニ、国産マグロのスリランカカリー、ダールカリー(ネパール風)、ライタ、ミックスアチャール、国産レバー二種のアチャール、青菜のサーグ、スパイス半熟卵などを好みで盛り付ける。カレーやご飯は好みのものを用意してもよい。 <調理のコツ> テンパリングでしっかりと油にスパイスの香りを移しましょう。
スパイシーチキンバタークリームカレー

器に合わせた料理のご紹介~魚料理~

今回は器に合わせたマグロの昆布締めをご紹介したいと思います。備前焼は和食との相性がよく、魚料理との組み合わせもいいですよ。味のある器だからこそ、素材の良さを堪能できる魚料理にピッタリです。 マグロの昆布締めは、マグロを昆布で締めることで、昆布の旨味が一緒に味わえます。作り方は簡単ですが、味わいは本格的です。食べたことがない方は、きっと旨味たっぷりの美味しさにびっくりするはず。 一度覚えてしまえば、手軽に作ることができるので、お祝い事や行事食にもおすすめです。

手軽なのにハレの日に使える昆布締め

昆布締めとは、北陸地方で親しまれている郷土料理の一つ。江戸時代、北海道の昆布と富山湾で獲れる魚を組み合わせて誕生したと言われています。昆布締めは美味しさだけではなく、生魚を日持ちさせるための先人の知恵。昆布が水分を吸収することで、そのまま保存するよりも日持ちさせることができます。 作り方は慣れてしまえば簡単です。ハレの日の料理にもおすすめです。生魚のサクから作ってもいいですし、刺身を使っても作ることができます。

◎ねっとりとした食感と濃厚な旨味!マグロの昆布締め

<材料:2~3人分> コシナガマグロ 1柵分 塩 少々 羅臼昆布(もしくは出汁用の平べったいもの) 適量 [A] 清酒 大さじ1 米酢 大さじ1 [その他] ワサビ 適量 醤油 適量 <作り方> 1、マグロに塩をふって10分ほどおく。水気はキッチンペーパーなどでふき取っておく。昆布を[A]につけ、湿らせておく。 2、昆布にマグロをのせて挟む。ラップで包んで、バットなどにのせ、冷蔵庫に入れる。数時間から1日経って昆布の旨味がマグロに移ったら完成。昆布を取り外し、マグロを食べよく切っていただく。表面をさっと炙ってもよい。好みでワサビ醤油をほんのり付けてもよい。 <調理のコツ> 昆布で1日ほど寝かせた後、数日以内に食べきるようにしましょう。
マグロの昆布締め

器に盛り付けてみた感想

今回は木の葉深皿に盛りつけさせていただきました。陶芸家である武田謙二様の器になります。こちらは長径約27cm、短径約18.5cm、高さ約6.8cmあり、少し大きめの深皿です。 備前焼は大変奥深く、窯の中の炎の状態によっては想定外の仕上がりになると言われています。独特の光沢があり、自然な風合いを持っていて、器を手にした瞬間、どんな料理に合わせようかとワクワクした気持ちになりました。 魚料理などの和食はもちろん、カレーなどの料理にも合わせやすいです。和食だけではなく、様々なジャンルの料理との相性がいいと感じました。 個性的で味のある見た目なので、食器棚に飾っても映えそうです。見せる収納をしたいという方にもおすすめだと思いますよ。

料理を魅力的にしてくれる

備前焼の特徴は、絵付けをしないで、釉薬も使わず、そのまま焼くという手法にあります。 こちらの器は型を使わず、一枚一枚手作業で成形しているため、まさに食器との出会いは一期一会です。こだわりの料理だからこそ、特別な器に盛り付けることで、華やかな料理に仕上げることができました。 武田謙二様の亜登武(あとぶ)窯という名前は、ご自身のお子さんの名前にちなんで名付けたとか。わが子を大事に想う心遣いが器への豊かな表現を育んでいるのだと感じました。

使い続けたい個性派の器

こちらの器の良さは、見た目だけではなく、普段使いができるところにもあります。飾っておくだけではなく、日々の食卓で使い続けるほど、愛着もわきそうですね。電子レンジも使用できるのもポイントです。作り置きのおかずを盛り付けるだけでも食卓が華やかになっていいですね。色んな料理に合わせやすく、使い勝手もいい和食器です。

使用食器【亜登武窯 武田謙二】「備前焼木の葉深皿(L)耐熱食器」

陶芸家である武田謙二氏の備前焼木の葉深皿。窯の中で薪の灰が高温で釉化して現れる、胡麻、牡丹餅などの味のある仕上がりになっています。 独自の土の配合と、1,200℃という高温登り窯で10日間以上かけて焼き上げています。高温で焼き上げることで耐熱性が上がり、電子レンジ・オーブン対応を可能にしています。調理したばかりの熱々の料理を盛り付け、そのまま食卓へお届けできます。現代の生活様式にマッチし、備前焼の新しいスタイルを実現しています。 ◆サイズ 木の葉深皿L W27×D18.5×H6.8 重量:600g ◆購入サイト https://na-utsuwa.jp/works/UTW541355269NA

陶芸家「武田謙二」とは?

岡山県倉敷市で活躍する陶芸家。1975年、大手キャンドルメーカーに商品企画デザイナーとして入社。岡山と東京で企画と製造の現場に従事。繊維会社での営業・販売、建設現場で溶接や大工の経験など様々な領域でモノづくりの経験を積む。1988年、備前陶芸センターで学び、翌年、自力で登り窯を築窯開始。8年がかりで登り窯を自作し、1996年、初窯出しを迎える。伝統工芸品であり現代の生活スタイルに沿った器である「ONI BIZEN」を立ち上げ、日本をはじめ海外から注目を集める。 ◆亜登武窯 https://oni-bizen.com/

終わりに

いかがでしたでしょうか。 食器が変わるだけで、料理の印象もがらりと変わりますよね。 今回紹介した和食器の選び方、器に合わせた料理を参考にすれば、きっと食卓が華やかになるはずです。 ご家族やパートナーへのお料理、おもてなしの際に役立ていただけると幸いです。ぜひ参考にしてみてくださいね。 このレシピと記事を作ったひと レシピ制作専門スタジオ 料理研究家 指宿さゆり 写真/文 指宿シンイチロウ 器 武田謙二 https://saisaishoku.amebaownd.com/

陶芸家 武田謙二

陶芸家

亜登武窯 武田謙二ATOBUGAMA Takeda Kenji

つくりて詳細へ

岡山と東京で、大手キャンドルメーカーのデザイナーとして、企画と製造の現場に携わってまいりました。また、繊維会社で営業・販売、建設現場で溶接や大工の経験を積んでまいりましたが、それらがすべて、今の工房での創作活動に生きています。 備前焼はとても奥が深く、窯の中の炎の状態によっては想定外の仕上がりになる面白味があります。その素晴らしさをもっと多くの方に知っていただき、生活の中に取り入れていただきたいと思っております。

続きを読む