信楽焼の魅力発見! 暮らしに取り入れたいおしゃれなおすすめうつわ5選

日本中で作られている焼き物には、いろいろな種類があります。 それぞれ名前のついている焼き物があるのは知っているけれど、その違いや特徴について詳しく知っている方は意外と少ないかもしれません。 今回はたくさんある焼き物の中から、信楽焼をご紹介します。 信楽焼はどこでつくられているのか、どんな特徴のある焼き物なのか。また、毎日の暮らしに取り入れれば、豊かな気持ちになれるような作品5選も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

信楽焼ってどんな焼き物?

信楽焼(しがらきやき)は、滋賀県の信楽周辺でつくられる陶器です。 中世から現在まで生産が続く、日本古来の代表的な6つの窯(瀬戸・常滑・越前・信楽・丹波・備前)、「日本六古窯(にほんろっこよう)」の一つです。 代表的な作品に「たぬきの置き物」がありますが、実物でなくてもテレビや雑誌などで、一度は見たことがあるのではないでしょうか。 食事のうつわだけでなく、日用雑貨から芸術品まで様々な作品が生み出され、甕・壺・火鉢など大きなものから小さなものまで、幅広い製品が作られてきました。 なかでも、花入れに転用された小さな壺は、その見た目から「蹲(うずくまる)」と呼ばれ、鎌倉時代末期から伝世しているものもあり、有名です。 それぞれの時代に合わせ、人々の暮らしを支える道具や食器として発展してきた信楽焼。 今は、現代の住宅やインテリアに合うモダンな作品も多くつくられています。

信楽ってどこ?どんなところ?

信楽焼がつくられるのは、滋賀県甲賀市(こうかし)信楽町周辺です。 古くから焼き物の町として広く知られ、近畿地方と東海地方を結ぶ交通の要所として栄えてきました。また、お茶の産地としても知られています。 信楽駅周辺には窯元が点在し、伝統的な登り窯も現存しています。陶芸関係の施設はもちろんのこと、寺社仏閣、造り酒屋、グルメな飲食店などもあり、多くの観光客が訪れます。 信楽焼を学びながら楽しめる施設もありますので、いくつかご紹介します。

信楽焼ミュージアム

信楽高原鐵道「信楽駅」下車 徒歩3分。甲賀市信楽伝統産業会館に併設されている信楽焼のミュージアムです。 鎌倉時代から現代までの信楽焼の歴史や作品を見ることができるほか、伝統工芸士の小谷光二氏による直径1m30cmの大皿も展示されています。素晴らしい存在感の大皿に職人技が感じられるでしょう。 信楽伝統産業会館には観光センターもあるので、信楽の旅の初めに訪れるのもおすすめです。

滋賀県立陶芸の森

信楽焼だけでなく、世界の陶芸の情報を発信している陶器のテーマパーク。 現在の信楽焼の情報を発信する「信楽焼産業展示館」では、さまざまな種類の信楽焼を展示し、ショップでは販売もしています。 園内にはいたるところに陶芸家の作品が屋外展示され、自然豊かな公園として散策するのも楽しみです。

信楽陶苑たぬき村

たぬき村というだけあり、たくさんの信楽焼たぬきがお出迎え。日本一大きなたぬきにも出会えます。 電動ろくろや手びねりでの陶芸体験や、オリジナルのたぬきづくりもできる施設です。 滋賀・信楽の素材を生かした食事や、お土産も購入できます。

信楽陶芸村

奥⽥忠左衛⾨窯が経営する陶芸村です。この窯元は、明治21(1888)年に、信楽の⼭裾で開窯した100年以上の歴史を持ちます。 陶芸体験のほか、実際の登り窯を使用したカフェや、作品を購入できるギャラリーなどがあり、ノスタルジックな雰囲気の中、ゆっくりと過ごせる施設です。 ご紹介した施設は、どこも信楽焼とじっくり触れ合うことができる場所ばかりです。 信楽を訪ねる機会があれば、是非訪れてみてください。

信楽焼の歴史は古いの?

信楽焼の始まりは、鎌倉時代中期(13世紀)と言われ、800年近くの古い歴史を持つ焼き物です。 古代日本史では、天平時代に聖武天皇が紫香楽宮(しがらきのみや)をつくるための瓦を焼いたのが始まりと言われており、そこから数えれば、およそ1280年以上の伝統があります。 鎌倉時代から室町時代には、水瓶、壺、すり鉢などがつくられていました。人がうずくまっているように見えるため「蹲(うずくまる)」と名づけられた小型の壺も、室町時代にはすでにつくられていたようです。 安土・桃山は武士により茶の湯が盛んになった時代です。 信楽焼は、土を生かした素朴な風合いであることから、その簡素さが茶の湯の「わびさび」の精神に通じるとされ、茶道具として使われる陶器「信楽茶陶」がつくられ、多くの茶人を魅了しました。 江戸時代に入ると、味噌壷、徳利、土鍋や茶壷など、さまざまな日用品が生産され、生活雑器をつくる焼き物の産地として発展しました。 徳川家への献上茶用の「腰白茶壺」も手がけられています。
明治から大正にかけて、家庭用の火鉢が多く作られ、その品質の良さから、国内販売の8割を占めていました。 昭和に入ると、植木鉢、タイル、傘立や建築に使われる陶器の生産が始まっています。国会議事堂の屋根に使われている瓦も信楽焼です。 近年は、日用品や食器などのほかに、置物や照明器具などが作られるようになり、昭和51年には伝統工芸品に指定され、陶器の町として広く全国に知られるようになりました。 特に、たぬきの置物は「八相縁起(はっそうえんぎ)」といい、たぬきの形や、表情、持ち物などが八つの縁起物を表していることから、福を運んできてくれると非常に有名です。

信楽焼はなぜ魅力的なの?

信楽焼は、使用される土や焼き上がりの色合いに特徴があります。 どんな魅力があるのか、見てみましょう。

400万年の歴史を伝える土

信楽焼には、「古琵琶湖層群」からとれる土を陶土(陶器をつくる土)に使っています。 「古琵琶湖層群」は今の琵琶湖のもとになる湖、川、湿地へ流れ込んだ土砂が堆積して出来ました。琵琶湖周辺の南北約50km、三重県伊賀市あたりまで広がっている地層群です。 甲賀市信楽町は、琵琶湖の南東部に位置し、古琵琶湖層の土がとれます。信楽焼は、約400万年前の土を使い、焼き物がつくられているのです。 この土は粒子が粗めで、非常に高い温度にも耐えられる土です。 さらに、石英の砂粒を多く含み、濡れると蛙の目のように光る蛙目(がいろめ)、亜炭に変化した植物化石を含む木節(きぶし)や実土(みづち)などのさまざまな性質の原料を混ぜ、耐久力と保湿性に優れた良質な土が生み出されます。 そのために、信楽ならではの大甕や大だぬきの様な大きくて厚みのある焼き物もつくることができるのです。

炎の魔法

信楽焼の風合いの特徴は、肌色・ピンク系や赤褐色系の美しい火色と、柔らか味のある素朴であたたかな作品の表情です。 特徴のいくつかをご紹介します。

【火色(緋色)】

火色は、焼成(焼き物を焼くこと)で、赤く発色した色のことです。 少しの湿度や火の焚き方の違いで色合いが変化し、決して人の力ではコントロールできない変化が「窯の味」と言われています。淡いピンク色から濃い緋色まで、信楽の土質に映える色として、珍重されています。

【焦げ(灰かぶり】

茶陶などで珍重される、さびた色合いも特徴の一つです。 信楽焼の焼成に使われる登り窯や穴窯では、燃え尽きた薪が灰となり、窯の中に積もります。焼成の際にこの灰が積もる場所に焼き物を置くと、下の灰に埋まった部分は黒くなります。この黒色の発色を「焦げ」と呼びます。

【自然釉(ビードロ釉)】

焼きものの表面に灰が積もり、その灰が青緑・黄緑色のガラス質の模様のようになることを「自然釉」と呼びます。これも、わずかな条件によって変化し、人の手ではつくれないものです。土の中に混じっている「長石」という鉱物と灰が溶け合うことでつくられます。 信楽の土は長石が多く、焼くと乳白色のツブツブになり、その独特な風合いも一つの特徴です。 このように、人の思い通りにはならない炎の魔法とそれを見極めようとする人々の努力が、美しく魅力あふれる信楽焼をつくっているのではないでしょうか。

おしゃれな信楽焼 おすすめ5選

【pottery工房】輪花皿

華やかな形と色合いが、食べ物の魅力をより引き立ててくれそうな器です。 花が開いたような美しい曲線と、微妙な色のグラデーションに引き込まれそうです。 釉薬の色にもこだわり、ひとつひとつ心を込めて作られています。 手作りの一点ものですので、大きさや形が少しずつ違い、個性豊かに仕上がっています。 直径が約20cmと大きすぎず、使い勝手が良く、和食でも洋食でもスイーツにも活躍してくれそうです。 電子レンジにも使えます。中性洗剤を使いスポンジで優しく洗ってください。 お値段は4,500円(送料・税込み)です

【みのる窯 松川実・松川京子】青亀甲だ円皿(中)

青い釉薬の部分のヒビが華やかな印象のだ円皿です。 「亀甲シリーズ」は、焼成の際に釉薬全体に入るヒビが花や亀甲のように見えることから名づけられました。厚みのある釉薬は奥行きを感じさせます。 長径約15cm、長辺約24cmのだ円形は、前菜からメインの料理まで幅広く使えます。 どんな年代の方にも支持される「亀甲シリーズ」は、和食からイタリアンなどの洋食まで、 幅広い食卓に彩りを与え、お料理映えに一役買います。 電子レンジ・食洗器にも使えます。熱湯や冷凍にも耐久性があり、使い勝手が抜群です。 お値段は6,000円(送料・税込)。

【川瀬浩愛】博白窯変2023 コーヒーカップ揃え

わら灰釉をほどこした、まったりした手触りが心地よい作品です。 わら灰釉は、わらを灰にしたものを使った釉薬で、焼成すると白く乳濁した色合いがでるのが特徴です。 ほんのり青みがかった乳白色は、なんとも柔らかい釉調に仕上がっています。 今回は今までと少し違った焚き方をして、より爽やかさを表現できるようになりました。よく見るとじわっと良さが溢れてくるそんな仕上がりです。 長時間高温でじっくり焼き上げ、予期できない色や模様を醸し出す、ほんものの窯変をお楽しみください。 お使いいただくほどに、宝石のような輝きが育ってきます。惚れ惚れするほど美しくなりますよ!ところどころ釉薬の暴れ(剥げ)がありますが、景色のひとつとしてお楽しみください。 食洗器が使えます。電子レンジは温め程度なら使用可能です。 お値段は、8,900円(送料・税込)。

【山崎勝実】はふり志野ぐい呑

穴窯焼成した信楽はふり志野ぐい呑です。 何日間も連続で薪を燃やす過程と、自然の力を頼りに、偶然と必然のドラマによりつくられる作品です。 白、薄茶、ピンク色の色合い(トキ色)が美しく、淡い色味に梅花皮(ひび割れ)のアクセントが入り、味わいある逸品です。 同じ作品でも、それぞれ表情の違いがあり、個性としてお楽しみいただけます。 お値段は、12,000円。 桐箱に入れてお届けします。

【谷寛窯】信楽緋色 うずくまる掛花入

穴窯で焼き上げられた「掛花入れ うずくまる 」です。 現代では貴重な昭和初期の原土を使用して作られた作品が、約4日間の穴窯焼成を経て 味わい深い表情となりました。 まさに信楽らしい緋色を楽しめる仕上がりです。 壁掛け用の金具がついており、壁に掛けても、置いても楽しめます。 こちらは、完全な一点ものの逸品です。 お値段は、55,000円(送料・税込)です。

信楽焼は炎の魔法と人の手がつくる逸品ぞろい

はるか昔の地層からとれる土と、炎が生み出す偶然からつくられる信楽焼。 そんな作品をぜひ手に取って使ってみてください。 人の手が生み出す工芸品はただの物ではなく、その息遣いや温かさが感じられる二つとない逸品です。 あなたのお気に入りを見つけて、ぜひ毎日の生活のお仲間にしてください。ちょっとした時間も楽しくなること間違いなしです。

本記事でご紹介したつくりて様

陶芸作家

pottery工房_potterykobo_

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器や置き物などジャンル問わず その時々のインスピレーションで 色んな物を制作しています。 全てシンプルな器をはじめ、 個性的な器、 ポップな器 遊びごころ満載のオブジェなど デザインはもちろん 釉薬の色にも こだわりを持ち ひとつひとつ心込めて 大切に作陶しています。 また、主人の創作居酒屋(@syunsai.kimura0818)では 私の手作りの器でお客様を おもてなしさせて貰っています。 平凡な毎日が 少し素敵に 笑顔があふれる器に 出会えますように。

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信楽焼窯元

みのる窯 松川実・松川京子Minorugama Matsukawa Minoru Matsukawa Kyoko

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こんにちは、滋賀県信楽町の陶芸家夫婦、松川 実・京子です。 ご覧いただきありがとうございます。大切な家族と、土と釉薬は神様からの贈り物です。 みのる窯は手作りにこだわり、ロクロを挽いて土と向き合い40年になりました。特に釉薬は、木の灰や、お米のわらを焼いた自然灰にこだわっています。 世界的にも有名な信楽焼の伝統を大切にしつつ、新しいやきものSTYLEにも挑戦し続けています。家族の絆(きずな)を大切にして、食卓を彩るうつわや花器をあなたにお届け致します。 信楽に初めてお越しになる方も、もっと広く深く信楽を楽しみたい方も、どうぞお気軽にお越しください。やきものの事、おいしいお店、おすすめの穴場、何でもお聞きください。みなさまとギャラリーでお会いできるのを楽しみにしております。

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陶芸家

川瀬浩愛Co-eye Kawase

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主に『わら灰釉薬を使った窯変もの』の陶芸を製作しています。釉薬の調合や窯焚きの方法にいつも工夫が必要ですが、苦労して出来た作品で良い窯変のものが取れたときは本当に嬉しく思います。雅やかに流れるわら灰窯変の美しさをご堪能ください。

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陶芸作家

山崎勝実Katsumi Yamazaki

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穴窯の窯焚きがとにかく大好きです。何日間も連続で薪を燃やすという過程も好きですが、それ以上に自然の力を頼りに、偶然と必然のドラマに魅力を感じるからです。想像力を最大限に駆使した感動のある作品作りを目指しています。作品は、はふり志野茶盌をはじめ、焼き締め器、日常使いのできるカップやお皿、また縄文ロマンあふれる土器や土偶などがあります。

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信楽焼窯元

谷寛窯Tanikangama

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当窯元は、古くは明治初期、海鼠釉(なまこゆう)を研究、完成させ信楽に広く開放した初代 谷井直方(1806~1891)に始まります。 「直方の雅友は歌人の蓮月尼茶陶に和歌をしるし給いき」 (二代目 妻 谷井かつ子 著書「穴窯の炎」より) この一首は、幕末の京に生きた蓮月尼で、「歌・書・陶作」を愛した風雅の女人でした。 初代 直方は茶陶を「登り窯」から出すと、草鞋ばきで東山の蓮月尼庵に届け逸作には蓮月尼自らが歌と書をしるしました。 その系譜の中、昭和の初めに谷井眞方(しんぽう)が現在の「谷寛窯」を創設し、二代目の信山(しんざん)、そして現 三代目 芳山(ほうざん)へ伝統と革新が受け継がれています。

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