「一つ一つ手作り、手描きが梅山窯の持ち味」
梅山窯さんの砥部焼の特徴や、こだわりを教えていただけますか?
岩橋さん(以下、岩橋):砥部焼の窯元は職人が1〜2人で営むところが多いなか、うちは一番大きな窯元といえるかもしれません。そんな梅山窯では現在、約30人ほどのスタッフで砥部焼を作っています。一つ一つの器に筆で絵をつける「一筆書き」という技法が、歴史の中で受け継がれてきました。そして砥部焼特有のぽってりとした厚みは、丈夫さの証。欠けやひびが入りにくく、ちょっとやそっとじゃ割れないんです。
素朴で美しく、丈夫で温かい。まさに砥部焼にしか出せない味わいが、愛好家に高く評価されています。
長い歴史のなかで、困難や危機を乗り越えたことはありますか。
岩橋:そうですね…創業は明治15年。第二次世界大戦前は東南アジアへの輸出が8割だったと聞いています。第二次世界大戦後、輸出が途絶しました。そんななか、砥部焼の再建を図ったのは、戦争から戻った先代社長の梅野武之助氏でした。当時、民藝運動を提唱した柳宗悦さん・陶芸家の浜田庄司さん・富本憲吉さんが砥部町を訪れた折にご指導を賜り、手作り・手描きという梅山窯独自の技術と技法の原型が完成したんです。